パイナップルと聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか?多くの人が甘く黄色の果実や特徴的な葉月の果実の形を思い浮かべる人も多いだろう。他にも、食べた後口に残る刺激や酢豚やソテーの具材、加工した缶詰め等を思い浮かべる人もいるのではないだろうか。
現在日本で食されているパイナップルの多くが輸入品で、フィリピン産が数多くあり、百貨店やスーパーなどの店頭でもそのままか、あるいはカットや、シロップ漬けの缶詰にされた状態で販売されている様子を見ることができる
ちなみにフィリピンは世界で有数のパイナップル一大産地だ。パイナップルの輸出総額は年間2億2800万$(米)にも上るとされている。また世界のパイナップル生産量のトップ2で、3位が南米のブラジル、1位は中米のコスタリカだ。
日本でもパイナップルの栽培がおこなわれており、気候的に沖縄県で盛んにおこなわれている。沖縄県の名護市にはパイナップルのテーマパーク「ナゴパイナップルパーク」という施設もあるそうだ。
そんな我々日本人にもなじみ深いパイナップルが今、SNSやインターネットの口コミを中心に人気を博している。それが台湾産のパイナップルだ。今回はそんな人気の台湾産パイナップルを実際に買って食してみた。
今回の台湾パイナップルは近所のスーパーで購入した。値段は645円だった。フィリピン産のパイナップルと比べてみるとより大きく、また値段もやや高かった。
めちゃくちゃ美味しかった
まず、皮ごと水で洗い、その次に上の葉と最下部を切り落とした。角切りや棒状にする場合はこの後、大きく皮をそぎ落とし芯を取るようだが、筆者は事前に元スーパーの青果部門担当だった編集長に切り方を質問していたのにもかかわらず。答えを忘れ、また芯も取らずにそのまま四等分し、スライスした。肝心の味はというと、果汁が濃厚で大変おいしかった。
また本来ならばパイナップルの芯は食べないそうなのだが、それも甘くおいしく食べることができた。実はジューシーでいくら食べても飽きは来なかった。しかし、やはり生のパイナップルに含まれるタンパク質を分解する酵素のブロメラインの影響で、舌や口に特有の刺激があるために、筆者の様に一度に丸々一個分食べると、最後には大変刺激が多く食べきるのに苦労する。
その為、一回に食べきらず、何回かに分けて食べる。または家族やほかの人と分けて食すのもよいかもしれない。是非この機会に一度、台湾のパイナップルを食してみてはいかがだろうか?
台湾パイナップルが人気の甘くない理由
しかし、なぜ今、台湾のパイナップルが日本で人気なのだろうか?きっかけは中国(中華人民共和国)の税関「海関総署」だ。2021年2月に海関総署から台湾側に検疫に不合格になったとして、3月1日から台湾から中国へ向けてパイナップルが輸出できなくなったのだ。その為、日本では10年前の東日本大震災でも支援をくれた台湾に今度は恩返ししようとSNSに投稿が相次いだ。
去る4月17日には「東京タワー台湾祭2021 GW」のため東京タワーが台湾パイナップルをイメージしたカラーに特別ライトアップされ、20日には入城記念用のパイナップルが品切れになったという。台湾パイナップルの日本向け出荷総数は大手スーパーなどでも注文が入ったことで昨年の日本向け輸出の2000㌧の3倍6000㌧に達するとみられている。
中国が対立する国の物品に対して、検疫を理由に輸出制限をかけるのは珍しいことではない。フィリピンに対してもスプラトリー諸島(南沙諸島)を巡って対立した際にバナナが差し止められた。またコロナウイルスの独立調査や香港、南シナ海問題で対中批判を強めているオーストラリアに対しても、牛肉の輸入を一部停止したことがある。今回の台湾パイナップル禁輸も蔡英文総統率いる台湾に圧力を掛ける狙いがあるとみられる。
台湾パイナップルはライバルとなるフィリピンのパイナップルより割高であるため、今まで広まっていなかった。フィリピンではアメリカの海外領だったフィリピン群島政府やコモンウェルス・オブフィリピンの時代からのドールなど多国籍企業が大農園を経営していた為、安価で大量の農作物を提供することができた。しかし、台湾では普通の農家が作っているために、数も少なく価格がどうしても高くなってしまうのだ。さらに日本とフィリピンはFTAを締結しているが台湾とはしていないため関税も異なる。
現在台湾は日本やアメリカと同じ自由民主主義国家だ。しかし中国は一つの中国の原則を強めている。新疆ウイグル自治区での人権問題はここ最近ニュースでも耳にするだろう、少し前には内モンゴルでも同化政策を強めた。また昨年は、香港で国家安全維持法が制定され、1997年にイギリスから返還された時に導入された一国二制度で保障されている高度な自治が蔑ろにされ香港の中国との法的同化が進むのではないかと懸念されている。
そんな中で、アメリカのインド太平洋軍司令官ジョン・アキリーノ海軍大将は議会上院の公聴会で「この問題は大半の人が考えているよりもはるかに切迫しているというのが私の意見だ。われわれは受けて立たなければならない。」と発言している。また、先に行われた日米首脳会談では「台湾海峡の平和と安定の為に両岸関係の平和的解決を促す」とニクソン・佐藤会談の1962年から実に52年ぶりに台湾に言及している。中国・台湾・アメリカわれわれ日本は、見えないところで確実に第三次国共内戦に近づいているのかもしれない。
筆・山口(法4)
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